近畿弁護士会連合会
理事長 田中 彰寿
- 近畿は一つ
平成28年度近畿弁護士会連合会理事長の弁護士田中彰寿(京都弁護士会所属)です。
弁護士は全国の地方裁判所に対応して構成されている各弁護士会に所属し、弁護士に関わることや弁護士会のなす活動はこれらの弁護士会を中心になされています。近畿弁護士会連合会はその内近畿の弁護士会の大阪4,318名、兵庫875名、京都729名、奈良 164名、滋賀143名、和歌山143名の弁護士会で構成されている連合体です。連合会傘下の会員は 6,372名 になります。(平成28年11月1日現在)
近畿の弁護士は人口分布や経済活動にほぼ対応するかのように、大阪をネットワークの中心にして滋賀の長浜、米原、大津から京都、大阪、兵庫、姫路とJRの東海道本線、山陽本線沿い、和歌山からの阪和線、奈良から大阪、京都へとつながる関西本線、奈良線の各沿線にそうようにしてほぼ近畿の中央部に所在しています。裁判所も、この中央部に大阪地裁・高裁、神戸、京都、奈良、大津、和歌山の各地裁の本庁が配置されています。
しかしながら、近畿にはこの中央部以外の周辺部に多くの区域とそれぞれに住民が居住され、その最遠の主な裁判所の支部だけでも北は兵庫の豊岡、京都の宮津、東は滋賀の長浜、米原、西は兵庫の姫路、洲本、南は和歌山の田辺、御坊、中央部は奈良の葛城、五条等多数散在しています。
私達弁護士もそれぞれの弁護士会がこれら周辺に至るまで住民の皆様の法的問題の需要に応じるべく法律事務所の設立をはかり弁護士の不在地域の解消に努め、また遠隔地には法律相談所を設置したり、これらの地域に設置されている法テラス事務所と協力したりして今日まで住民の皆様の要望に応えてまいりました。連合会におきましても近畿の隅々にいたるまで弁護士と弁護士会の法的サービスが住民の皆様に提供できるよう協力して参ります。
- 変化の中で
近年の社会の変化の中で住民の多くの皆様は消費者問題に巻き込まれたり、家庭問題、少年事件、成年後見や高齢者には財産管理が必要であったり、また中小企業や労働者の皆様のためにはクレーマー処理、民事介入暴力問題、労働問題一般、労使の交渉、労災申請、事業後継者、下請代金法の活用など従来にない様々な法分野の対応が要請されるようになってまいりました。私達にもこうした新たな法分野に渡る弁護技術の開発と技能向上、知識経験の取得が必要とされます。
刑事裁判におきましても導入された裁判員裁判につきまして裁判員の負担の問題や取り調べ段階での全面可視化の問題など克服すべき問題も多くあります。そこで、近畿弁護士会連合会では毎年秋には連合会の大会、シンポジウムを開催し人権擁護の分野のテーマを研究し論じ、社会的意義あるテーマの決議を行ってまいりました。さらに当連合会では夏に夏期研修を行い民事手続き、刑事手続きを問わず法律知識の習得につとめています。消費者保護委員会や民事介入暴力及び弁護士業務妨害対策委員会等では近畿弁護士会連合会レベルで独自の研究会を開催しています。当連合会としてはこうした弁護士としての法律知識の研究、錬磨、知識の獲得の機会をより広い分野へ拡大し住民の皆様のために働きたいと思っています。
- 意見表明
他方、近畿が古来まとまりのよい地域であることを反映して、特定の法律問題が同時多発的に圏内各地で発生するという傾向ももっています。こうした近畿圏で起こる多くの問題については各弁護士会が機動的に意見表明をし当局への働き掛けをしていますが、当連合会としても近畿全体としての意見表明や決議をして参りたいと考えています。
私達近畿弁護士会連合会はこれからも住民の皆様の要望に応えられるよう努力をしてまいりたいと思います。今後とも皆様のご指導ご鞭撻をお願い致します。
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近畿弁護士会連合会
理事長 田中 彰寿 |
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